2017年の太陽光発電市場展望(2)特高案件を対象に入札制度、1回目の入札量は0.5GW
- 17/03/08
- 太陽光発電関連ニュース・市場動向,環境に対する取組み
2017年度にスタートする改正FITの大きな変更点は、入札制度の導入である。経済産業省は、制度の対象を2MW以上の特別高圧案件とし、試行期間である2017年度に1回、2018年度に2回実施する(図)。2017年度の1回目の入札量は「0.5GW(500MW)」で、ここ数年の設備認定量をベースに「十分な競争が起きる容量」として決められた。
図 特別高圧案件を対象とした入札制度の日程(出所:経済産)
特高の設備認定は2014年度が約6.3GW、2015年度が1.4GW、2016年度が0.5GW(6月30日時点)。2016年度通年では1GW程度になると見られているが、2013年度をピークに減少しているため、2017年度は1GWより少なくなる可能性もある。そこで、「十分な競争が起きる容量」として0.5GWとした。
入札上限価格は、2017年度の非住宅太陽光と同じ21円/kWh。2018年度以降の入札量と上限価格は、2017年度の実績を検証して、調達価格等算定委員会の場で議論して決められる。
入札制度の目的は、0.5GWの枠を巡って、21円/kWhより安い札を入れる事業者が現れ、買取価格が下がることにある。従って、入札希望者が想定より少ない競争環境下では、21円/kWhに張り付いてしまい、制度の意味がなくなる。
FITの買取価格の低下によって、新規案件はスケールメリットによって事業性を高めるため、10MW以上に大型化する傾向も見られる。「買取価格21円/kWhでも世界的にはまだ高い。制度リスクの少ない日本は、依然として魅力的」との声は多く、大規模プロジェクトの開発意欲は衰えていない。
金融機関は、低リスクで安定的な収益の見込める貸出先として、メガソーラーを再評価する動きもある。その場合、プロジェクトファインナンスを組成するには、10MWを超える規模が多くなる。
一方で、大型案件は、林地開発許可や条例による環境影響評価を求められることも増えており、改正FITよって創設された「運転開始期限3年」というルールをクリアするのが難しくなる面もある。自己資金に余裕のある開発事業者は、2MW未満の高圧案件を複数、開発していく方向性を強める可能性もある。(日経BPクリーンテック研究所)
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